ネット通信第45号完成、発送しました

8月28日、『ネット通信第45号』を会員とサポーターの方に発送しました。ネット通信第45号の巻頭の記事をテキストで紹介します。
ネット通信第45号     ☆ふじさわネット通信一覧

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2020年7月31日、藤沢市教育委員会は7月臨時会を開き、2021年4月から使用する中学校教科書について審議し、歴史・公民ともに東京書籍を採択しました。藤沢市では2011年から3度にわたり現場の評価が極めて低い育鵬社が採択されてきましたが、9年目の今年、現場の意向・市民の声を尊重した採択となりました。
同日午後5時から藤沢市役所会議室で、藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会と共催で報告集会をおよそ30名の参加で行いました。

9年目 育鵬社採択阻止

       あたりまえの要求が尊重された採択に

みんなの教育・ふじさわネット

  2011年、教育委員人事への政治介入

2011年、海老根前市長による、教育委員人事への政治介入が行なわれ、侵略戦争美化、憲法「改正」の押しつけ、憲法の三原則ないがしろの、問題だらけの育鵬社教科書(社会科・歴史、公民)が、藤沢市教育委員会で採択されました。先生方がまったく支持しなかった教科書でした。

  2015年も教育的論議を尽くさず、育鵬社採択が強行

2015年採択時まで、先生方による「教科用図書調査書」は綴じたままで簿冊として一冊、教育委員会に置かれたままでした。調査書のまとめがない、採択審議委員会の答申は議事録だけ、市民の意見書も綴じたまま、これでは先生方や市民の意向は、わかりづらいし、教育委員に伝わりません。教科書の採択までに、恣意的な介入ができる危険性があるしくみでした。育鵬社教科書の内容への批判とともに、このしくみに注目して、改善の運動を進めていきました。教育委員会事務局へ、よりわかりやすい資料提供を要求していきましたが、当初は、「教育委員が要求すれば用意する」という受け身の姿勢でした。2015年も教育的論議を尽くさず、育鵬社採択が強行されました。

 2018年~2019年現場の先生たちへのアンケート(「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」)

地域の教職員組合は、社会科の教科書研究の教研組織を立ち上げ、教科書研究が始まりました。資料提供をし、一緒に考えていく道を模索していきました。2018年12月~2019年2月に現場の先生たちへのアンケート(「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」HP参照)では、その教科書の使いづらさや困難を抱えた実態が明らかになりました。

  2015年・2020年「先生方や保護者の意向尊重を」という署名

教科書問題の世論は全国的にも、大きく高まりました。「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」との連携・協力は、教科書問題の一点で、「先生方や保護者の意向尊重を」という署名(2015年54000筆以上、2020年は38000筆以上)、学習会などの共同の運動として発展しました。地域の市民団体にも広く呼びかけ、入学式当日のチラシ配り、市民の教科書展示会での意見書書き、採択審議委員会の傍聴、そして採択当日の教育委員会傍聴など、多くの市民の参加がありました。 教科書展示会では、教科書の内容についての詳細な指摘や、教科書採択での先生方の声を尊重する要望など、たくさんの市民の意見書が教育委員会に届けられました。またみんなの教育・ふじさわネットのHP(ホームページ)開設で、運動がさらに広がりました。

  2017年以降、教科書採択の公開性、透明性は大きく前進 (4頁に資料の表あります)

採択のしくみの改善について、教育委員会事務局へ要望、懇談を重ねていきました。その結果、2017年以降、教科書採択の公開性、透明性は大きく前進しました。教育委員会事務局は、調査書や教科書展示会での意見書をまとめ、さらに審議会も審議のまとめをつくり、答申としました。それらは参考資料として教育委員に届けられました。さらに2019年の採択審議委員会では、中学校の教科書について、委員が(教員に聞き取りをして)「教科書によっては使いづらさがある、ということでした。」と発言しました。

  2020年7月31日、育鵬社の名は、一切出ず

2020年7月31日、採択当日。定員の2倍の傍聴希望者がありました。教育長が「(現場の先生方からの)調査書について、先生方の貴重なご意見なので大切な資料として参考にさせていただく」「市民の皆様から多くの意見をいただき、ありがとうございました。これらを参考にして、採択したい」と表明しました。審議では育鵬社の名は、一切出ず、先生方の評価の高かった教科書が、つぎつぎ採択されました。

先生方の声が尊重される教科書採択、侵略戦争賛美の教科書反対、というあたりまえの要求が尊重される採択まで、9年。運動が実りました。
これまで育鵬社を採択してきた地域から、今年、育鵬社を採択をしなかったという報告があいついでいます(4ページに資料)。憲法の理念を教育に生かす運動は、これからも続きます。
(みんなの教育・ふじさわネットのHPもご参照ください。)